東京世田谷区の用賀にある「HAIR SALON .half(ヘアサロンドットハーフ)」は2012年7月1日にオープンし、14年目になる美容室です。ご夫婦で経営されています。
「ヘナなんて絶対やらない!」
そう言い切っていたサロンが、マニアックなヘナサロンに変わっていきます。「ドットハーフ」美容師の豊嶋みなみさんに、その変化&変遷、そしてヘナについて語ってもらいました。
これからヘナサロンをはじめようとしている、あるいは新しくヘナのメニュー化を考えている理美容師のみなさんにとても参考になるメッセージです。(「ヘナ愛」山中登志子)

はじめに
結論から言うと 「需要があった」 です。
このまま死ぬまで薬剤で染め続けるのか? と言う思いが、結構なお客さんの中にあったんだと思います。
父(ヘナ伝道師グッチ、江口照久)がドットハーフで講習会を始めたのが10年前。当時はイチゴカラー(第1剤と第2剤の混合比率が1:5のヘアカラー)とヘナの講習会の両方をやっていて、私は「ヘナなんて絶対やらない! イチゴカラーのほうが面白い!」 と父にも言っていました。
講習会の後、手についたヘナの匂いが嫌で、ゴシゴシ洗っていたくらいです。
そんな私たちが、ヘナを導入したリアルな経緯をお話しします。
メニュー化前のヘナへの価値観
当時は、 回転効率重視の何でもできますサロンでした。ファッションカラー、 グレイカラー、 縮毛矯正、 キッズカット、ワンちゃんもOK!
今思えば私たち美容師側の都合で営業していたと思います。 縮毛矯正? 単価高いしやるやるー!みたいな(笑)。
ヘナなんて時間がかかる上に色は選べない。 非効率だし、 経皮吸収っていう言葉すら知らなかったです。
価値観が変わった出来事
episode① ヘナをやってみたいお客さん
父のヘナ講習会を手伝っている話をしたら、 数人の仲のよいお客さんが「ヘナやってみたい!」 と言ってくれたのです。
カラーも矯正もやっていましたから、 まぁお試しでという感じでやってみたら「頭皮がラクだし、 くせ毛も扱いやすくなった。 色も悪くない!」とポジティブな反応が返ってきたのです。
episode② お客さんから「ヘナってなに?」
その事がきっかけでサロンメニューに載せはじめた頃、別のお客さんに「ヘナってなに?」 と聞かれて、 植物であることや薬剤の身体への影響を説明したら 「実は染めた後、頭皮が突っ張ったり、かゆいんだよね」 と言われて、それからヘナをすることになりました。
その方は今では 「もっと早くヘナに出会いたかった。もう薬には戻れない!」 と言っています。
episode③ Facebookでのメッセージ
Facebookに 「アレルギーでも使える白髪染めありますか?」 というメッセージが届きました。
当時の私はインディゴや2度染めを知らず、ちゃんと伝えられなかった悔しさから、「ちゃんと学ぼう」 「人の役に立つには学ばなければ!」 と思うようになりました。
episode④ 沖縄産ヘナを初体験
2021年、沖縄産「美らヘナ」を自分で初めて体験しました。
ブリーチハイライトにヘナをしてみたんです。

いつもはパシパシになる毛が手触りよく、 これがヘナか! と認識。 自分が体験したからこそ、お客さんにもリアルに伝えられるようになりました。
ヘナ導入後、 ヘナのお客さんが増えました。 うちの夫(豊嶋伸一)も手荒れが劇的に改善しました。
脱ステロイドや食事の見直しも併用していますが、 やはり肌に触れるものを見直すことはとても大きいと身をもって実感しています。
どうやってヘナを導入したか?~メニュー化までの道
最初は父のヘナ講習会(ヘナ塾)を手伝いながら、 聞き流していた話が「質問」に変わっていきました。「え? それどういうこと?」 と 本気で知りたくなったのです。
メニューとしては、 まずは 「ヘナ単品」 や 「ヘナのちインディゴの2度染め」からスタート。 価格はカラー + トリートメント設定で、トリートメント効果もあることを体感してもらいました。
次に「おかえりヘナ」 を導入。 帽子をかぶって帰る姿にお互い戸惑っていたけれど、 「濃く染まる!」 「艶すごい!」 「くせが落ち着く!」とヘナファンが増えて、今ではサロンの主軸になっています。
半数以上のお客さんが「 おかえりヘナ」です。
今、ヘナが選ばれる理由
ヘナを選ぶお客さんには共通点があります。
*がんや体調の変化をきっかけに、 生活を見直した方
*経皮毒や化学物質の影響を知った方
*コロナ禍に安全な白髪染めを探してたどり着いた方
あとは、ヘナをやってるはずなのにキレイにならない!と悩んで駆け込んできたケミカルヘナに侵されている方です。
「身体に負担をかけたくない」という想いが、みなさんに共通しています。
白髪染め目的だけではなく、トリートメントやデトックス目的でヘナをしている方も多いです。 さらに、白髪がオレンジ色に染まって、 白髪ぼかしになるというのも・・・。
【case①】60代女性(国産ヘナ染め)




私が感じるヘナの3つのよさ
私が感じるヘナのよさが3つあります。
1)髪と身体に負担がないのにハリコシ艶が出る。 クセの収まりがよくなる。
2)排水しても地球にやさしい。
3)薬じゃないから、 動物や子どもがいても安心
肝臓のデトックスや女性ホルモンの安定などすでにわかっていることもいくつかありますが、 目に見えてすぐに感じれるこの3つをお客さんに話しています。
これだけよいことが揃っていて、しかも傷まない。 どんなトリートメント、髪質改善よりもヘナがダントツですぐれていると思います。
【case②】80代女性(インド産ヘナ染め後、インディゴ染め~2度染め)


ヘナが合う人の共通点
添加物や化学香料をたくさん使っていると、ヘナのよさは届きにくい気がします。
それは、昔の私もそうだったからわかります。
香水や柔軟剤、薬を当たり前に使っていると、 自然の匂いや変化に気づけません。匂いで誤魔化すのが習慣になっていると、 ヘナは「物足りない」 と感じるのかもしれません。 食事と同じですね。
でも、だんだんと余計なものを手放していくと、 四季の移ろいや、ペトリコール (土の香り)、 フィトンチッド(森の香り)に癒されるようになってきます。
素材を味わえる人、 季節を感じられる人、 健康意識が高くて自然が好きな人-- そういう人たちに、 ヘナはすごく響くのではと思っています。
これからヘナを始めるサロンへ
ヘナを導入するとき、いきなり「今のお客さん」 に提案するのは慎重に! 無理に価値観を変えるのは難しいから興味を持ってくれた時がチャンスです。
そのチャンスを逃さず、自分の知識や他のお客さんの声を届けてあげましょう。
そして一番大切なのは、自分がヘナを体感すること。 私も髪の毛はもちろん、 ネイルや唇、 眉毛でも試しています。 自分でやってよいなを感じてるからこそ、自信を持ってすすめられるのです。
アドバイスができる--。おやすみヘナをする時は「タオルはもう1枚巻いたほうがいいよ」「タレれてきちゃうから首の後ろはテープで止めてみよう」などなど・・・。
一緒に体験してきたからこそ、お客さんに伝えられます。
お客さんと一緒に 「快適なヘナライフ」 を作っていくことが、信頼関係を深めるきっかけにもなっています。
最後に
新しいことに挑戦することは、最初は億劫で面倒くさいです。 でも、ちょっとやってみたら 「意外といけるかも」 と思えるものです。
私自身、ヘナを始めたことでサロンの在り方も、自分の暮らしも変わりました。
ヘナは、髪と身体にやさしいだけではなく、 お客さん、生産者、美容師、 地球すべてに豊かさをくれる存在です。
今回の私の話が誰かの役に立てたらうれしいです。
これからも“髪と身体、 心にやさしい美容 ” を誠実に届けていきます。 三方良し経営で!(「HAIR SALON .half ヘアサロンドットハーフ」豊嶋みなみ)




美髪応援『読むヘナ Q&A55』(kindleにて発売中)で紹介している「他力本願ではできないヘナのメニュー化 必要性を感じるまで待つ!」もぜひ、参照ください。