「ヘナ」についての疑問、質問にお答えしていきます。
「ヘナQ&A」の回答は江口照久さん(「エムテック」代表、美容師)。インドヘナだけでなく、国産ヘナも知る「国産ヘナの生産者」。そしてプロヘナ、ヘナ歴25年のヘナ伝道師です。
Q ヘナ選びで、こういったヘナは選ばないほうがいいというのはありますか?
NGヘナがあるならどんなものか知りたい。
海外産と国産の違い、温湯の量、適正価格などから選ぶこともできますから、
ヘナ選びも「消去法」で選んでみてもよいですね。5つほど紹介。
①「外国産ヘナ」は選ばない(★安心・安全が確認される場合は除く)②ヘナパウダー100gに温湯を3.5倍以上加えるヘナは選ばない。③「早く、濃く染まる」を売りにしているヘナは選ばない。④ネットワークビジネス販売(連鎖販売取引)のヘナは選ばない。⑤適正価格ではないヘナは選ばない。
<消去法①>「外国産ヘナ」は選ばない。(★安心・安全が確認される場合は除く)
国産ヘナと比べて、外国産ヘナには見えない部分が多くあります。外国産のチェックはハードルが高く、生産者から製造までの確認は困難ですから、安心・安全が確認されるヘナ以外は選ばない。
<消去法②>ヘナパウダー100gに温湯を3.5倍以上加えるヘナは選ばない。
国内・外産を問わず、ヘナ100gに対して温湯の量が【ヘナ:温湯 1:3.5~4】の表示の商品は選ばない。
海外・外国産ヘナのローソン量(染まり具合)
外国産のヘナに含まれるローソン染料(ローソニア・アルバ、ヘナに含まれる染料)は0.6~2.0%です。つまり、100gに最高値2%とすると、2gのローソン含有になります。
それが、ヘナの分量に4倍の温湯を加えると、ヘナペーストに含まれるローソンの含有量は4分の1、つまり0.5%(0.5g)になります。
加える温湯の量が多いと染料は薄まり、染まりも悪くなります。
国産ヘナのローソン量(染まり具合)
国産のヘナに含まれるローソン染料量は1.5~3.2%です。外国産の2倍以上のローソン染料が含まれています。
ローソン含有量からみても、国産ヘナのほうが染まりはよいです。
良質ヘナのパウダーと温湯の目安
海外産・国内産「良質ヘナ」の天然100%ヘナパウダー(100g)に対しておすすめの温湯量です。
天然ヘナ100%の場合 | ヘナ(g) | 温湯(cc) |
---|---|---|
海外産ヘナ | 100 | 280~310 |
国産ヘナ | 100 | 250~280 |
<消去法③>「早く、濃く染まる」を売りにしているヘナは選ばない。
「20分で染まるヘナ」に染料「ピクラミン酸」0.9%
ウチのヘナは特別だから・・「早く染まる」「濃く染まる」「よく染まる」の「セールストーク」「キャッチフレーズ」には注意しましょう。
ヘナ講習(ヘナ塾)の際、参加者の方がヘナを持ち込まれ、ご本人曰く「このヘナは、ヘナ葉のオレンジの色素が濃い部分だけを取り出す独自の方法で20分でしっかり染まります」ということでした。そのメーカーのパンフレットには「最良のヘナは20分で染まります」とありました。このパッケージを見たとき、「見覚えのあるヘナだな」と思いました。
もう、ずいぶん前になります。「グッチさん(江口照久さん)のとこのヘナは安いけど、染まりが薄いからね・・・」。東北のあるサロンのオーナーから年数回、会うたびにそのようなことを言われました。ある時、取引先を教えるから「濃く染まるヘナを取り扱いなさい」と告げられ、1袋100gの「濃く染まるヘナ」をいただきました。
それから、私はすぐに成分分析を依頼しました。その結果、ヘナの偽装に配合される代表的な染料「ピクラミン酸」が0.9%も含まれていました。
ピクラミン酸はわずか1%含有で真っ赤に染まる染料です。
この事実をFAXで送付後、サロンオーナーに電話をしたところ、最後には激しい口調で「いいの、ウチのお客さんはこの色で満足されているから・・・」と言われ、ガチャンと電話を切られてしまいました。それ以降、お目にかかっていませんが、一番の被害者はお客様だと思います。
お客様は天然100%ヘナを望まれていると思います。美容師を信じていますから、その責任は重大なのです。
「天然100%」と表示があっても、特に「インド産」を含む「外国産」は成分分析を行なわない限り、信用はできません。
天然100%ハーブカラーに「ピクラミン酸」0.56%
次の分析結果は、東北のあるサロンから薦められた「天然100%ハーブカラー」です。
大々的に地域の情報紙でPRし、集客していました。サロンオーナー自慢の白髪染め「ココアブラウン」でした。成分分析を行なったところ、偽装ヘナに配合される「ピクラミン酸」が0.56%検出されました。
国内大手ヘナ「天然100%」に過酸化バリウム5.4%
こちらの分析結果は、国内大手のヘナ会社です。カタログに天然100%表示を見て、すぐに購入、分析に出しました。過酸化バリウムという酸化剤が5.4%検出されました。
各7万円の費用(当時)がかかっています。
このように国内においても「天然100%表示に意味がない」ことがハッキリしています。天然100%で「よく染まる」「濃く染まる」「早く染まる」はあり得ないのです。
講習会に持ち込まれる「他社ヘナ」に対しては「分析しないとわかりません。最低でも5万円かかります」とお応えしています。
<消去法④>ネットワークビジネス販売(連鎖販売取引)のヘナは選ばない。
健康ブームと言っても過言ではない昨今です。ヘナ人気も徐々に高まりつつあることを日々実感しています。それにともなって、「ヘナは健康的である」「健康維持によさそう」のイメージから、ヘナの販売をドライなビジネス戦略展開している企業が存在しています。”健康ヘナビジネス”とも言えそうです。
しかし、インドをよく知る私が取り扱われているヘナ品質を調べてみたところ、価格に見合った品質ではないとわかりましたので、このことを注意喚起します。
ネットワークビジネス販売の組織は底辺層が友人を介して販売し、中間層は底辺の働きをサポートし、その中間マージンを得る・・・。上階層は中間層、底辺層のモチベーションを引き上げる努力をし、リベート(キックバック)等を得て、安定した高額所得を得るという仕組みです。
中間に入る人が増えれば増えるほど商品価格は上がるため、外国産でも国産並みに価格が設定されている事実があります。上階層の利益、贅沢のために一般の消費者が外国産の高額ヘナを購入されていることを気の毒だと思うのです。
せっかくヘナに出会えたのですから、もっと高品質のヘナがあることを知っていただきたいと切望します。
百聞は一見に如かず‥・視野を広げる意味でも他社のヘナを試されることをおすすめします。
<消去法⑤>適正価格ではないヘナは選ばない。
日本で販売されているヘナ100%の価格もさまざまです。海外、国産のヘナ生産状況をみるとヘナにも適正価格があります。参考まで考えられるメーカー希望小売り価格(税別)をあげておきます。(2023年6月現在、ヘナ100%商品の価格)。
「外国産ヘナ」は100g1,500円以上(税別)は選ばない。
「国内産ヘナ」で100g3,000円以上(税別)は選ばない。
ヘナの適正価格を決めるのには、生産国のGDPなどの数字を参考にすることができます。
インドの場合は、良質のヘナを仕入れ製造しパッキングまで行なった製造原価は150円から200円程度と考えています。2023年コロナ禍の後で為替変動が大きく、円安と相まって、その価格は10%程度上昇していると考えています。
仮に、ヘナ100gが原価200円としましょう。輸入に掛かる関税、輸送費(航空機)、国内化粧品会社経費、国内輸送費、ヘナ販売会社利益などが加算されても、市販される価格が1,500円(税別)を超えることはあり得ないと考えています。これは、外国産のヘナの考察です。
国産ヘナの場合は、100%国内産であればヘナ100gの原価は外国産の3倍程度です。一般的な小売価格は国産ヘナパウダー100gで2500~3000円(税別)が適正価格だと言えます。
ヘナメーカー「エムテック」代表・美容師・ヘナインストラクター
ヘナ歴25年、ヘナ伝道師グッチ
ヘナ伝道師として22年、1000回以上の「ヘナ塾」を全国で開催。現在、沖縄うるま市で、ヘナの畑作り・栽培・加工・販売まで行なっている「国産ヘナの伝道師」。