「ヘナ」についての疑問、質問にお答えしていきます。
「ヘナQ&A」の回答は江口照久さん(「エムテック」代表、美容師)。インドヘナだけでなく、国産ヘナも知る「国産ヘナの生産者」。そしてプロヘナ、ヘナ歴25年のヘナ伝道師です。
Q ヘナと相性がよいハーブのシャンプーはありますか?
無添加、自然のシャンプーが使いたいです。
ヘナと相性がいい植物、ハーブのシャンプーが知りたい。
相性ぴったりの「シカカイ」は独特のサラサラ感があります。健康毛、ヘナ毛対象のシャンプーになります。アムラを30%程度加えると頭皮活性化になります。
江戸時代から使われてきた米ぬか、フノリも見直されています。
ヘナとの相性ぴったり「シカカイ」
インドに行くと「シカカイ」というハーブがパウダーで売っています。
インドの山林の奥深くに野生のシカカイの木があります。その実を乾燥させてパウダーにしたものがシカカイ粉(パウダー)です。シカカイは栽培が難しく、インド南部のチェンナイを訪問した際に農家が自生している木より収穫して、自宅前で自然乾燥させている光景をよく見かけました。
「インド人はハゲ知らず」と揶揄されるのは、このシカカイで髪を洗っているからだと言われています。
シカカイの洗髪方法①
シカカイ粉に水を加えてケチャップ状にし、シャンプーとして使用します。
シカカイの洗髪方法②
小さな鍋に水100ccにシカカイ粉20〜30gを加え一晩寝かせます。10時間前後したら、鍋を火にかけ沸騰後、すぐに火を消して常温になるまで冷やしてから、そのままシャンプーとして使用します。
使用前にコーヒーフィルターや茶こしで濾すとより滑らかな感触でシャンプーをすることができます。
シカカイには洗浄成分であるサポニンが多く含まれ、高い濃度であれば泡立ちますが、粉を手に取る程度であれば泡立ちを感じることがありません。
ダメージ部分は泡で優しく包むシャンプーをすべきで、ギシギシシャンプーはダメージ悪化に繋がりますから、シカカイ粉のみでシャンプーする場合、健康毛、ヘナ毛の方が対象です。独特のサラサラ感はヘナとの相性もピッタリ。泡立ちがお好みの方、毛髪ダメージが著しい場合、アミノ酸主剤のシャンプーをシカカイと同量のシャンプーをミックスして使用してもよいでしょう。
シカカイに「アムラ」を加えて頭皮活性化
頭皮活性化を目的とした場合、アムラをシカカイに加えるとよいでしょう。分量はシカカイ粉に対して30%程度をお試しください。
アムラはインド南部のチェンナイ周辺で盛んに栽培されています。アムラの木からピンポン玉大のアムラがたくさん採れます。ライトグリーンの生アムラをそのままかじるととても酸っぱく、食後のフルーツという感覚では食べられません。乾燥したアムラを粉にしたアムラ粉をインド人は積極的に料理に加えています。
アムラは”若返りの果物”と呼ばれています。アムラにはビタミンCや特にポリフェノールが豊富で、さまざまな効能効果が報告されています。
江戸時代のシャンプーは米ぬか、フノリ
洗髪の歴史を学んだことがあります。戦国時代が終結し、江戸時代と呼ばれる徳川家による幕藩体制は260年にわたり平和な時代でした。その頃の洗髪事情はザックリと月1派と月2派とに大きくわかれているようです。江戸の遊郭、吉原の遊女らは毎月27日が洗髪日になっていて、洗髪は半日仕事の月1行事でした。
その時に用いられていたのが、海藻の一種である布海苔(フノリ)や米ぬか。米ぬかは合成シャンプーが開発される1950年代までは石けんと併用し、使用されていたようです。現在、米ぬかの効能効果が見直され、米ぬかを用いたシャンプーや石けんが使われています。
週1シャンプー時代、多用されてきたABS(アルキルベンゼンスルホン酸)
そもそもの話になりますが、シャンプーが日常的に行なわれるようになったのは近年のことです。私が記憶するところでは昭和50年代では週1シャンプーの方もずいぶんいました。
当時使用していたシャンプーの1つは、フケ取り用のシャンプーで緑色の固形石けんのような固形シャンプー剤を小刀で細かく削って、水につけて溶かして使用するタイプで、営業用のシャンプーは水で薄めて使用していました。シャンプーだけでは髪がギシギシにキシんで泡切れも悪く、特にヘアカラーやパーマで傷んでいるロング毛のすすぎは苦手でした。
今、考えるとシャンプーの基剤が当時、多用されていたABS(アルキルベンゼンスルホン酸)だったと考えると恐ろしくなります。当時の女性の髪には枝毛が多く、枝毛カットというサービスが存在していました。
美容室で「トキツケ」施術
美容室に週1回来店され、ご自身ではシャンプーされない100%サロン派の方も数名いました。いつも結い上げていたご婦人は毎週サロンに来店され、シャンプーは2週間ごとで、シャンプーをしない週は「トキツケ」という結い上げた髪を解いてていねいにブラッシングを行ない、ツゲの櫛を用いて「フケ取り」と呼ばれる施術を行なっていました。
リズミカルなシャッシャカシャッシャカと聞こえる音も楽しみながら、頭皮に“へばり付くフケ”を浮かせ飛ばすテクニックが大好きでした。その後、再び、ていねいにブラッシングを行ない、その後、再び結い上げる施術です。
この一連の施術を「トキツケ」と呼んでいました。45年ほど前のことです。
ヘナメーカー「エムテック」代表・美容師・ヘナインストラクター
ヘナ歴25年、ヘナ伝道師グッチ
ヘナ伝道師として22年、1000回以上の「ヘナ塾」を全国で開催。現在、沖縄うるま市で、ヘナの畑作り・栽培・加工・販売まで行なっている「国産ヘナの伝道師」。