「ヘナ」についての疑問、質問にお答えしていきます。
「ヘナQ&A」の回答は江口照久さん(「エムテック」代表、美容師)。インドヘナだけでなく、国産ヘナも知る「国産ヘナの生産者」。そしてプロヘナ、ヘナ歴25年のヘナ伝道師です。
Q ヘナは1回で染まりますか?
ヘナ染め1回で満足できるかしら? 髪の違いもあるのかしら?
染まり具合を決めるのは、毛髪の太さの違い(体積差)と白髪の量(白髪率)。
タップリ塗布、長時間放置、白髪部分は頻繁に染めることをおすすめします。
染まり具合を決めるのは「毛髪の太さ&白髪率」
ヘナは1回染めて満足される方もいれば、数回染めることをおすすめする方といます。
毛髪の質を立体的に考えると、
① 吸水性毛か、撥水性毛か。~ 毛質の違い
② 髪が太いか、細いか。 ~ 毛質の違い
③ 白髪が多いか、少ないか。 ~ 白髪率
白髪染めでの染まりの違いは、毛質の違いと白髪の量(白髪率)で決まってきます。
①<毛髪の違い>撥水性毛・吸水性毛
撥水性毛は水を弾く性質で染まりにくく、吸水性毛は水分の吸収がよくてよく染まります。
②<毛髪の違い>太さ、体積の違い
日本人の平均的な毛髪直径は、細毛0.05mm以下、普通毛0.08mm、太毛0.15mm以上です。簡単計算で、その差は3倍以上あります。
毛髪を円柱と考えると「半径 × 半径 × 3.14 × 毛髪の長さ」となります。毛髪の長さ30cm(300㎜)のセミロングの場合で計算してみましょう。
【細毛】0.025 × 0.025 × 3.14 × 300=0.58875㎣
【普通毛】0.04 × 0.04 × 3.14 × 300=1.5072㎣
【太毛】0.075 × 0.075 × 3.14 × 300=5.29875㎣
つまり、細毛と太毛の体積の違いは9倍あります。これをわかりやすく説明すると、細毛は白画用紙が小さく、太毛は白画用紙が9倍大きなサイズということです。
毛髪の太さ | 黒髪 | 白髪 | |
---|---|---|---|
細毛 | 0.05mm 以下 | 染まりやすい、明るくなりやすい | 染まりやすい、濃く染まる |
普通毛 | 0.08mm | 染まり、明るさ標準 | 染まり、濃さ標準 |
太毛 | 0.15mm以上 | 染まりにくい、明るくなりにくい | 染まりにくい、薄く染まる |
ヘナの成分、ローソン色素の含有量を同じと考えると同じヘナペーストを同量塗布すると、太毛は体積が大きく薄く染まり、細毛は濃く染まるということになります。
黒褐色(地毛) の場合、 太毛は普通毛よりメラニンが多く、明るくなりにくく、細毛はその逆で明るくなりやすいです。細毛は表面積及び体積も小さいからです。白髪の場合、太毛は普通毛より表面積及び体積も大きく、染まりにくくなります。
③白髪の量(白髪率)の違い
白髪が気になる年齢は30歳半ばくらいでしょうか・・・。30代後半は白髪染めされている方も少なくありません。最初は、ほんの数%であった白髪が40歳代はどんどん増えて40歳後半には20%~40%程度の白髪率になるようです。50歳代になると50~80%と高白髪率になる方もおられます。
この白髪率はヘナの染まりにとても大きく影響します。
ヘナを濃く染めるには・・・
毛髪の太さの違い(体積差)+白髪の量でほぼ染まり具合は決まるといってもよいでしょう。
毛髪が細く、白髪が少ない場合、一度のヘナで十分な満足を得られると予想できます。逆に、毛髪が太く、白髪が多い場合、1回のヘナでは、満足できない場合が多く、短期間に数回繰り返すことをおすすめしています。
毛髪診断では、これまでの白髪染めの履歴を毛髪と問診により、染まりやすいか、染まりにくいかの判断を行なって、太毛、高白髪率の場合は、ヘナ染め1回では満足できない場合があることをていねいにに解説しながら伝えることに努めています。
対策としては、細毛に対しては毛髪が隠れる程度の量を塗布し、太毛に対しては飽和状態を意識し、タップリ塗布し、放置時間も長めにする必要があります。
ヘナを濃く染めるためには・・・
①ヘナペーストをタップリ塗布する。
②長時間放置する。(7時間以上を推奨)
③白髪が多い箇所は頻繁に繰り返す。
ヘナ熟成効果
ヘナを温湯60℃で溶いた後、ヘナを熟成(ラップで空気を遮断するようにカバーしそのまま自然放置)させるとよく染まるヘナペーストが出来上がります。
ヘナメーカー「エムテック」代表・美容師・ヘナインストラクター
ヘナ歴25年、ヘナ伝道師グッチ
ヘナ伝道師として22年、1000回以上の「ヘナ塾」を全国で開催。現在、沖縄うるま市で、ヘナの畑作り・栽培・加工・販売まで行なっている「国産ヘナの伝道師」。