「ヘナ」についての疑問、質問にお答えしていきます。
「ヘナQ&A」の回答は江口照久さん(「エムテック」代表、美容師)。インドヘナだけでなく、国産ヘナも知る「国産ヘナの生産者」。そしてプロヘナ、ヘナ歴25年のヘナ伝道師です。
Q リンス、コンディショナー、トリートメントの違いは何ですか?
リンス、コンディショナー、トリートメントとヘアケア商品もいろいろだけど、そもそもの違いは?
リンスとコンディショナーはまったく同じものです。トリートメントには補修効果を期待する成分が含まれています。トリートメント剤を薄めたら、コンディショナーになると思ってよいでしょう。配合の種類が少ないか、薄いかです。
コンディショナーやトリートメントでのダメージケアの回復は一時的です。
リンスとコンディショナーはまったく同じもの
リンスとコンディショナーはまったく同じものです。アメリカではコンディショナー(conditioner)という表記はあっても、リンス(Rinse)というボトル表記はありません。リンスは「流す」。またシャンプー(shampoo)は「頭皮のマッサージ」、語源はインドのヒンディー語で本来の意味はマッサージです。
日本において、リンスがシャンプー後の処理剤として使用されるようになった経緯の詳細はよくわかりません。
私の子どもの頃(昭和40年代半ばから後半)、パーマ&カットの時代でした。ほとんどのお客さんがパーマをかけ、カーラーを巻いて当時のオカマドライヤーに入って、それからコームアウトと呼ばれる仕上げをしていました。皆さん同じような髪型になって、仕上がったときは、今でいうサザエさんのような頭のようでした。
髪を染め、パーマをかけて髪が損傷している状態でシャンプーをすると、シャンプーの泡を流す際には髪の毛がギシギシして指が通りません。実家の美容室でシャンプー台にリンスと表記された黄色いものが置いてありました。リンスというクリームをつけて、泡を流しやすい状態にするのが目的だったのではないかと思います。
当時のシャンプー剤は今のようなアミノ酸系とかベタイン系は存在せず、洗浄成分もかなり強いものを使われていたようです。界面活性剤と呼ばれる洗浄成分にアルキルベンゼンスルホン酸(ABS)と呼ばれていて洗浄力も強いし、皮膚や目に対しての刺激も大きかったようです。
トリートメントを薄めたらコンディショナー
では、トリートメントとコンディショナーは何が違うのでしょうか?
トリートメント(Treatment)という言葉自体、特に髪の毛のダメージを回復させるといった効果を表しているわけではありません。トリートメント とはある症状に対しての処理、処置という意味合いで使われています。毛髪のダメージを改善する、状態をよくするという意味ではありません。
実際にトリートメントクリームを毛髪に塗布して時間を置き、サロンでは加温の促進機を使います。これは、ヘアパックで、髪の毛の状態をできるだけ改善しようというメニューです。
トリートメント剤とコンディショナー剤の違いをざっくり言うと、トリートメントには髪の毛に大切なたんぱく質、アミノ酸などの補修効果を期待するような成分が含まれています。また、オイルやシリコーンオイルなどのブレンドが各メーカーでこだわりがあるようです。シリコーンは種類も多いです。
毛髪に残りやすいタイプ、一度のシャンプーで落ちてしまうタイプと存在します。これは毛質に対して合う、合わないがあり、サラッとした仕上がりを好まれる方は残らないタイプを選択し、クセ毛やボリュームを抑えたいと希望される方は毛髪に残りやすいシリコーンを多く含む製品を選ぶとよいでしょう。商品も使ってみないとわからないと思いますが、ネットやSNSの製品レビューなどは参考になるでしょう。
コンディショナーはトリートメントと比べて配合の種類が少ないか、薄いと考えてください。つまりトリートメント剤を薄めたら、コンディショナー剤になる・・・そんな感じの受け止め方で構わないと思います。
ダメージヘアが一時的に回復
私は、コンディショナーやトリートメントでは、ダメージを受けた毛髪を回復させられるとは思っていません。実際にそのときはよくなったような感触になっているのですが、それは一時的です。
洗濯に使用されている柔軟剤と同じようなイメージでしかありません。
毛髪は爪と同じ角質です。血液により運び込まれた材料を原料とし毛根内で毛母細胞を作り、分裂増殖により髪の毛を作ってそれが繋がって押し出されているだけです。毛髪には血液もリンパ液も流れていません。死んだ細胞、角質です。自己再生能力はありません。そのため、傷めない努力が肝要です。
毛髪をお気に入りの柄の素敵なブラウスに例えて説明します。
素敵なブラウス柄を保つためには・・・
①着る回数を減らす。
「ここ一番の大切な日のみに着る=汚れる機会を減らす=洗濯の回数を減らす」。紫外線に当たる時間を減らすことにも繋がります。
②洗濯に気をつける。
ぬるま湯で手洗い、洗剤は最小限、日影干しにします。髪の毛もブラウスと同じ、製品と考えてください。傷めない努力が大切です。ただし、毛髪はクローゼットで休ませることができません。毎日、行動をともにします。シャンプー方法も回数を減らすことは可能です。夏は毎日シャンプーは仕方がないにしても、冬は汗をかくことも少ないのでシャンプーの回数を減らしてもよいと考えています。
ヘナメーカー「エムテック」代表・美容師・ヘナインストラクター
ヘナ歴25年、ヘナ伝道師グッチ
ヘナ伝道師として22年、1000回以上の「ヘナ塾」を全国で開催。現在、沖縄うるま市で、ヘナの畑作り・栽培・加工・販売まで行なっている「国産ヘナの伝道師」。